隣の席に座るヤンキー男子の癖は甘噛みです


 勇気を振り絞り、小さな声を出した。

 ――と同時に、チャイムが鳴って私の声が消されてしまう。

 対人スキルのレベルが瞬間的に2へ跳ね上がったけど、相手に思いは伝わらなかった。


「そんなわけで地味子ちゃん、よろ~っ!」


 そう言い放ち、女子生徒は立ち去った。


「一方的に、ひどいよ……」


 たくさんの人に囲まれて、文句を言われなくて良かった。

 一対一だったけど、すごく傷ついたよ。


 これから先も、若林くんは私の席の隣にいるんだよ。

 話かけられても、無視しないとまた攻められてしまう。

 ぜったいに見てるよね、監視されるのかな……


「はあ……」


 憂鬱だ。

 思わず溜息が出てしまう。






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