隣の席に座るヤンキー男子の癖は甘噛みです
4.私とは住む世界がちがう
茶髪で背が高く、イケメンの若林くん。
とうぜん、クラスメイトの女子だって黙ってない。
外見は威圧的で口が悪く、耳にピアスもしてる。
あまり、ヤンキー男子とは関わりをもちたくない、と入学初日には思っていた。
ボサボサの長い髪に黒縁メガネ、顔の表情を隠すような前髪に猫背。
制服のスカートだって長いままだし、着崩してオシャレを楽しむなんて私には無理。
そんな地味子の私にだけ、若林くんが話かけてるのはなぜ?
可愛くてステキな女子生徒は、ほかにたくさんいるのだけど……
なんであんな地味子ばっかり、という疑問がクラスの女子の中で話題になってるみたい。
対人スキルがレベル1、内気でおとなしい性格の私。
ヤンキー男子の若林くんとは、どう考えても不釣り合いだよね……
クラスメイトが陰でコソコソ話てるのは知ってたけど、教室で一人ぼっちの私には関係ない。
直接、嫌なことを言われたわけでもないし……
「よっ、元気でやってるか!」
「若林くん、おはようございます……」
遅刻の常習犯、ヤンキー男子が教室に姿を見せた。
「おっ、今日は俺に顔を見せて挨拶してきたなっ!」
「わわわっ、すいません……」
「べつに、あやまることないんじゃね~の?」
なれって怖いもので、うつむいたまま顔を隠して話てた入学初日とは変化してる。
無意識に顔を上げ、小声で会話をできようになったけど……
目を合わせたまま、彼の顔を見つめて話すまでには時間がかかりそう……