隣の席に座るヤンキー男子の癖は甘噛みです


 今まで、一匹狼だったヤンキー男子の若林くんに変化が起きてる。

 クラスで目立ってる子たちが作るグループに、よく顔を出しているからだ。


 なんとなく、気があってるように見えるし、自然の流れなのかな。

 すぐに周りと溶け込んで、違和感がないように見える。


 男女数人のグループは、制服もカッコよく着崩してオシャレ。

 みんな個性的で、会話もなんだか楽しそう 。


 でも、そういう人たちに……


 私は良い印象を持ってない。

 中学生の時に、酷い扱いをされた経験があるからだ。


 地味子な外見と、小声で話す自信のない言葉づかい。

 目を付けられて、傷つくような酷いことを言われたのが心に残ってる。


「スクールカーストか……」


 ブツブツと小声でつぶやいた後、すぐに口を閉ざした。

 思い出したくもないし、できれば関わりたくない。


 入学初日、若林くんのようなヤンキー男子から地味子だって言われて……

 中学の時の記憶が脳裏に浮かび、すごく胸が締め付けられたけど……


 外見から受ける印象とちがって、少し子供っぽいのかな?

 なんて、変なお姉さん目線で彼を見てしまう私がいる。


 あいかわず遅刻ばかりで、お昼は私のおかずをつまみ取るヤンキー男子。

 目を合わせて会話をすることは、まだできないけど、言葉数は多くなっていた。


 授業中、私の横に座る若林くんに何気なく目を向ける。

 窓際の席に座る彼は、グラウンドに視線を向けていた。

 私に気づくことなく、体育の授業を受ける生徒を無心で見つめる。



 その時、私はヤンキー男子の癖を見てしまった……



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