隣の席に座るヤンキー男子の癖は甘噛みです
5.ヤンキー男子の癖
黒縁メガネのレンズごしに、私は若林くんの横顔を見つめてる。
ちょっと胸がドキドキしてきた。
私は授業中だということを忘れ、彼に見入ってる。
グラウンドに視線を向け、肘を机に乗せたまま左手の親指を口元へ……
唇に軽く指先を押しつけ、爪を優しく噛んでいるのだ。
その、姿が……
赤ちゃんみたいで、愛おしく可愛い。
教室の中で一番後ろの席に座る私と、隣の若林くん。
私の他に誰も気づいてない、彼の癖。
無心で親指の爪を甘噛みするヤンキー男子。
私はその横顔を、ずっと見つめてる……
威圧的な外見とキツイ言葉づかいを知ってるので、ギャップが激しい。
だから、余計に愛おしく感じてしまう……
などと心の中で思っていた時、彼が爪を噛むのを突然止めた。
私は急いで前を向き、黒板を見つめて知らん顔。
その姿を、ヤンキー男子が睨むように見つめてくる。
まさか、バレてませんよね……