恋した先輩には病みがある!?
それを見せびらかすように斗愛くんに差し出しました。


「じゃじゃーん!これが斗愛くんお待ちかねの恋桃からのバレンタインです!」
「ありがとう」


嬉しそうにそれを受け取ろうとする斗愛くんの手をひょいとかわしました。


「ちょっと待ってください。斗愛くんはただこれを渡すためにここを借りたと思っているんですか?」
「? 違うの?」


斗愛くんは怪訝な顔で見返してきます。そんな顔しなくてもちゃんと渡しますよ。


「違います。ここを選んだのは、斗愛くんに恋桃が作ったものを手ずから食べてもらいためです!」
「手ずから!?」


聞き返す斗愛くんの目がぎらりと光ったのを恋桃は見逃しませんでした。

まるで獲物を狙う捕食者のよう。


「そうです。せっかくの機会なのであーんしようと思ったんですが、お気に召しませんでした?」


きゅるるんと上目遣いで見ると斗愛くんはごくりと喉を鳴らしました。
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