恋した先輩には病みがある!?
でも違った。

恋桃は何か月経っても俺も元を離れようとしなかった。それどころか日に日に熱量が増している気さえする。

恋桃のような子は初めてだ。

何よりも自分に自信があって、いつも明るくて、今まで出会った誰よりも長く気持ちを伝え続けてきて・・・。

恋桃が毎日飽きもせずに俺もそばに来るのが楽しみになったのはいつからだろうか。

だからデートに付き合ってもいいかと思うぐらい絆されていったんだと思う。

デートの初めに手を繋がれなかったことに驚いた裏には、明らかに期待が込められていた。

俺のことを他の女子へのマウントに使うわけでもなく、ただ真っすぐに俺を好きでいてくれる姿が可愛いと思った。

人に可愛いなんて思うのは初めてで、自分のことなのに戸惑った。

この時点で恋桃は俺にとって充分特別な存在だった。

それと同時にかすかな独占欲が湧いた。

それを自覚したのは田崎たちと恋桃が話しているところを見たときだ。

なんてことない場面のはずなのにドロッとした感覚が胸にたまった。

なぜか恋桃が俺以外の男と普通に話すことに衝撃を受けた。

恋桃には俺だけじゃないのか、なんて馬鹿なことを考えるぐらいに。

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