鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。

1(王子と総長)

1 (王子と総長)


4月6日。高校の登校日初日。


私、成瀬 桜妃 (なるせ さき)はこの日をずっと待ちわびていた。


友達出来るかなとか、好きな人も出来るかなとか、膨らませる夢はいっぱい。


何事も第一印象が大事だからね!


洗面台の前で、いつも以上に身だしなみをチェックして、笑顔をつくる。


よしっ、頑張ろう!


そう意気込んだ私の夢は初日から全て崩されることになる─



「じゃあ、お母さん。行ってくるね。」


「行ってらっしゃい。気をつけてね。」


少女漫画でよく見るあんなキラキラした恋愛がしてみたい。


現実は違くても、1度くらい夢をみたっていいはず…。


ワクワクした気持ちで電車に揺られ、人の行き交う道を歩いていくと、すぐに高校へと到着した。


「わぁ、人がいっぱい…。」


正直、人混みが苦手な私は、端を通って、下駄箱へ向かう。

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