鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
笑顔でこちらへかけてくる兄。成瀬 琉斗(なるせ りゅうと)大学4年生。


ちなみに6歳差。


中学生の時も毎日のように迎えに来られて、高校生になってからはそれがなくなったと思ってたのに………。


「桜妃?兄ちゃんと家帰ろ。」


「…お兄ちゃん、」


「ん?」


「もっとさ、目立たないようにして…」



来なくていい、だとか 来ないで、と言っても全く効果がないのは知っている。


だから、どうしてもこちらが折れるしかないのだ。


見た目からは想像できないような子犬の笑顔を見せて、嬉しそうに帰り道を歩くお兄ちゃん。


その後を私も追う。


「ねぇ、お兄ちゃん!なんでこれ、また復活したの?」


「…………桜妃に、変な虫が寄り付かないようにするため。」
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