鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
「桜妃。」


私の名前を呼ぶ声に反応して、顔を上げるとそこには鳳条先輩がいた。


「せんぱ………」


私の言葉は遮られて、少し強引に鳳条先輩に抱き締められる。


だけど、全然嫌じゃない。


この温もりが、少し、恋しかった………。


鳳条先輩が私の腰に手を回すのと同じように、私も鳳条先輩の大きな背中に手を回して抱き締め返す。


「……鳳条……先輩…?」


「…充電。」


「わ、私もっ、いっぱい充電します…」


「…なにそれ。可愛すぎ。」


ギューと、こちらにのしかかってくる鳳条先輩。


「せんぱっ、苦しいです…」


「悪い。」


鳳条先輩は、1度体を離すと、私を見下ろすようにして私の頬を両手で挟んだ。
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