鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
ドクンッ、と心臓が跳ねる。


「名前…なんだっけ?」


「成瀬さんだよ、ほら、成瀬 桜妃さん。1年の。」


桜…妃………あいつは、本当に桜妃だけに真っ直ぐだったのか?


「鳳条様、他の男が近づかないように凄い牽制してるみたいです。」


「…そっか、ありがとう。」


それからも何人かに同じ質問をしていったが、みんな同じことを言うばかりだった。


だいぶ尖っていたみたいだったが、桜妃のおかげで、めちゃめちゃまるくなったと。


──今日も、あいつと桜妃は一緒に門を出てくる。


「あ、」


「……今日は、3人で帰るぞ。」


「…えっ!?お兄ちゃん、何かあったの!?」


……俺自身、もうこいつを認めようとしてるのかもな。
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