鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
──そして……


「桜妃、危ない!!」


鳳条は、車まであと数メートルという所で、桜妃をかかえて、転ぶどころか、しっかりと受け身を取ってみせた。


「だ、大丈夫か!?」


車が通り過ぎてから、俺も駆けつける。


「私は大丈夫!鳳条先輩は……」


鳳条に抱えられながら、心配そうに顔を覗く桜妃。


「俺も大丈夫だ。桜妃に怪我がなくて良かった。」


優しい笑顔を浮かべて、桜妃を愛おしそうに見つめる鳳条のその姿が偽りだとは到底思えなかった。


あの状況で、足がすくんで動けないことの方が多いのに………あいつは1番早く、桜妃を助けに向かった。


本当に……桜妃を愛しているんだな。


…これで確信がついた。
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