鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
けど、俺は少し違う。


だって俺も……


「俺も、前まで暴走族の総長だった。」


「え、?」


「やめたけど。」


こいつがさっきみたいな身体能力を持っていたのは、それが理由だったのか、と気づく。


きっと、こいつは相当強いだろう。ただのチンピラとは違って。


こいつなら守れるだろうか。


俺が守ることの出来なかった、あの時の桜妃を──



「桜妃は、巻き込むなよ。」


「…俺、やめます。暴走族。」


何を言うのかと思ったら……


「正直、桜妃を絶対巻き込まない、なんて保証はどこにもないです。だから、その前に出来るだけ早くやめようと思ってます。」


…そうだな。確かに、昔の俺も絶対桜妃は巻き込まないって豪語していた。
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