鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
「どうかしたか?」


「…あ、いえ、その……世の恋人同士ってこんな感じなのかなって思って……」


口に出してしまってから、後悔する。


「あっ、ごめんなさい」


私たち恋人みたいですね って言ってるのと同じじゃんね。


……恥ずかしい。こいつ何言ってんだって思われたかな。


恥ずかしさで、俯いてぎゅっと自分の服の裾を握る。


すると、鳳条先輩はその場にしゃがみこんで膝を台にして頬ずえをつくと、顔を上げて、私を覗き込んだ。


「桜妃、なにそれ。嬉しすぎんだけど。」


ギュンっ!!


心臓が変な音をたてる。


本当に大変。私の心臓が…危ない。高鳴りすぎてる。鳳条先輩の言葉に何かを返すなら、私の方が嬉しすぎるなんてこと。
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