鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
「行くぞ。」


鳳条先輩は立ち上がって、当たり前のように私の手を引く。


「桜妃は、何が観たいんだ?」


今、上映されている、少女漫画の実写化の映画がある。


原作のファンで、ずっとそれが観たいと思っていた。それに………その映画には、レンくんが出てる……。


「恋愛系は…鳳条先輩、いやですか?」


「…ん?なんで?」


え?なんで?なんでって……


「恋愛映画とか嫌な男の人多いじゃないですか。」


「俺は、桜妃と一緒なら全然嫌じゃない。」


「ありがとう、ございます。」


「ん。」




─映画館の自動券売機で2枚分のチケットを買って、席に座る。


上映前の暗い中、小さな声で鳳条先輩に話しかける。
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