鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
戸惑う私とは反対に、レンくんは冷静な様子。


「……その子……誰??」

「知らない。」


レンくんは鳳条さんの答えに目を丸くして今度は私に尋ねた。


「……えっと、名前、なんて言うの?」

「…あ、私は……成瀬 桜妃って言います。」

「え……なる、、せ、??…あ、ごめん成瀬さんね、俺、あんまり状況が分かってないんだけど、成瀬さんは分かってる?」


ん?なんだろう、何かあったのかな、成瀬っていう苗字に動揺してた?
まぁ、いいや。


「…いえ、全く…。」


レンくんは困ったようにため息をこぼして、「ごめんね。」と私に向けて謝った。


「えっ!?なんで…」

「狼、気がおかしくなってるんじゃないか?」

「は?」

「女の子を巻き込むな。」


っ!!女の子……レンくん…やっぱり、テレビで見るのと同じように優しいっ、


突然の事に困惑していたけど、レンくんの優しさが分かっただけで、私は満足だった。
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