鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
返答をしただけだったのに、何故か悲しそうに顔を歪める桜妃。


「寂しかったですよね」


「え?」


俺が、一人暮らしだからか?親と離れて、一人だったから?


桜妃はそれを心配してくれているんだろう。


だけど、そんなことを思った日は1度もなかった。


全部自分でやらないといけない、というのは少し大変だけど……寂しいとは……


「すぐそばに甘える人がいないって、すごく辛いことだと思います。」


そうなのか。それって桜妃は誰かに甘えたいってことだよな?


心の底から受け止める。俺は甘えるよりも桜妃に甘えられたい。


「鳳条先輩っ、前の、体調不良の時も1人で……すごく辛そうでした…。」


体調不良………あぁ、桜妃がわざわざこんなところまで足を運んで、俺の見舞いに来てくれた時か。
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