鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
「鳳条先輩って、自炊してるんですか?」


冷蔵庫の中にあった食材を見た桜妃が可愛らしく首を傾げる。


「少しだけ。」


「すごい……。」


最後は独り言のようにつぶやいたあと、もう一度冷蔵庫の中を探した桜妃は、ひとりでに頷いた。


「大丈夫です!材料あります!」


「そうか。」


「じゃあ、作るので、鳳条先輩待っててください!」


いや、桜妃1人にやらせて、俺がただ待ってるなんてそんなこと出来ないだろ。


思ったことをそのまま言ってみせると、桜妃は困り眉でダメだと首を振った。


「甘えてほしいって言ったじゃないですか。いいんです、待っててください」


ん、愛おしいな、ほんと。小動物にしか見えない。
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