鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
「狼には連絡したから。」


「…はい。」


さっきから、はいしか言えない。まともな返事が出来ない。


鳳条先輩になんて言おう。


いろんな言葉たちが私の頭の中を飛び交っていく。


額にできたこの傷も……汚いから……気持ち悪いから……本当は見せたくない。


鳳条先輩の美しい顔が歪むのを見たくない。


さっきまでの楽しかった思い出が、全て真っ黒に塗りつぶされていくようだった。


「桜妃ちゃん……ごめんね、こんなことに巻き込んで…それに、俺が変なこと言ったから…」


違う違う。それだけは絶対違う。


天川先輩は何も悪くない。


だって私は、鳳条先輩が暴走族の総長だと知った時から、分かっていたんだもの。


こういうことがあるって……
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