鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
「…悪かった。」


うん、もういい。鳳条先輩が無事ならそれで…


それより私は……


「鳳条先輩、言わなきゃいけないことがあります。」


「私、、暴走族に襲われたことがあります。」


頑張って……言った。だけど、きっとまだ説明がたりない。


「その、、お兄ちゃんが、暴走族の総長をやっていた時に、巻き込まれて……」


中学1年生の時、私はお兄ちゃんと敵対していた暴走族の人にさらわれた。


お兄ちゃんが死にものぐるいで助けに来てくれたけど、その間に私は……たくさん殴られてしまった。


「……」


鳳条先輩は何も言わない。今からその時の傷を見せるのに……怖い。


「こ、れ……」


私は震える手で、そっと自分の前髪を上げた。
< 184 / 302 >

この作品をシェア

pagetop