鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
「唯一、残った……その時の傷です…」


おでこの端の方にできた深い傷跡、これを見る度に私は……あの時の恐怖がフラッシュバックする。


「ごめんっ、なさっい、気持ち悪いですよね…」


隠してきたけど、もう隠せなかったんだ、


これで鳳条先輩に嫌われても、悔いはないのかもしれない。


「桜妃 」


私の名前を呼ぶ、鳳条先輩の声色は、びっくりするほど優しかった。



「頑張ったな、桜妃。」



あぁ、なんでだろう、なんでそんな言葉をくれるんだろう。


私が欲しかった言葉を………


今までこの傷を見た人がくれた、『可哀想』や『痛そう』なんていうものじゃなくて……


私は、誰かに褒めてもらいたかった……。


それを、大好きな鳳条先輩が言ってくれた。
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