鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
私だって、まだ恐怖心が拭えなくて、恐る恐る名前を確認する。


「ん。狼でいい。」


いや、いきなり名前を呼びは……キツイというか…。


「鳳条……先輩。」

「なに。」

「…あ、と、確かめただけです…。」


そう、と耳元で呟く鳳条先輩の、私を抱きしめる力はどんどん強くなる。


「桜妃。」

「は、はいっ!」


何を言われるんだろう…。


昼休み、鳳条先輩の手を払い除けたこと怒られるのかな…。暴走族の総長とかいう立ち位置の人にする態度じゃないよね……。


先に謝った方がいい?謝るだけじゃ許されない?


あ、お金とか?要求される感じ…??
私、お金ないよ……??


「あの、鳳条先輩っ!ごめんなさい!」

「は…?」
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