鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
助手席で、ぼーっと窓の外を眺める桜妃に胸の奥が苦しくなった。




〜次の日、18時前〜


俺は約束通り、1人駅前のベンチに座って、鳳条を待っていた。


「お兄さん」


その声に顔を上げる。


「鳳条…」


約束通りちゃんと来たな……早く鳳条の話を聞きたい。でも、ここだと人が多すぎる。


「とりあえず、近くの公園行こう。」


「はい。」


鳳条と公園に向かう途中は、これから大事な話があるという鳳条は気楽に話せる訳もなく、さらには俺も気まずくて、ただ足音が響くだけだった……。





「……隠さず、全部話せよ。ちゃんと聞くから。」


人気のない、公園のベンチに腰を下ろして、俺がずっと思っていたことを鳳条に伝えた。
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