鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
………桜妃を泣かせたのは許せねぇな。


だけど……こいつが1番苦しかったんだろうな。


本当は嫌だったはずだ。好きな女を泣かせるなんて…。泣き顔なんて、1番見たくなかったはず。


本当の気持ちを……押し殺したんだな、こいつは。


「あぁ。」


鳳条の謝罪に、短い返事をする。いろいろな思いをのせて。


「早く、そいつらとの問題を解決して、暴走族をやめます。」


「そのころには、もう遅いかもしれない。だけど、俺には桜妃だけなので。必ず迎えに行きます。」


あぁ、これか、これがこいつの決断か…。


守るために、距離を置く。


「お前は…俺とは違うんだな。」


「は、?」


「俺は、暴走族に入っていた時…絶対に桜妃のことは守れると思っていた。それくらい、強い自信があった。」
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