鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
俺が言えるのは、これくらいだろう。
桜妃の兄として、言えること。言いたいこと。


俺が、桜妃と鳳条の気持ちをどちらも知っている唯一の人間だとしたら…


慎重に動かないとな。
2人の頑張りが崩れないように…。


自分自身の立ち回りについて真剣に考える俺に、鳳条が深く頭を下げたのが分かる。


あぁ本当に……桜妃もこいつもお人好しすぎて心配になる。


お前ら2人、もっと傲慢になれ。


「鳳条、人手が足りなくなったら言えよ。いつでも動けるから。」


まぁ、鳳条なら大丈夫そうだけど。


念の為……な。


「ありがとうございます。」


「あぁ。」


全てが上手くいくように、と俺は心の中で強く強く願った───
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