鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
昼休み終了後、琴莉ちゃんは猛スピードで私の元へ走ってきて、勢いよく机に手をついた。


「桜妃!無事に入れられた!?」


「琴莉ちゃん!うん!上手くいったと思う!」


あとは鳳条先輩が見てくれれば……っていう感じなんだけど、そんなに上手くはいかないと思う。


だから鳳条が来てくれるまで、毎日繰り返す。


途方もない、でも、できる所までやってみせる。


手紙だけじゃない。鳳条先輩を見かけたら、怖気付かずにどんどん声をかけていこう。


鳳条先輩に……伝えるまで……


心の底からの『大好き』を……


少なくとも今、鳳条先輩が他の女の子といたっていう話は聞いていないから……それならきっとまだチャンスはあると思う。


待っててください!鳳条先輩!!


そう意気込んだけれど…


その日、私が思っていた通り、鳳条先輩が資料室に来てくれることはなかった──
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