鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
だけど、俺はまた桜妃を傷つけた。


近寄んな……か。言いながら、心臓が抉られているのかと思うほど、激しく痛んだ。


俺を見つめながら揺れる桜妃の瞳が……その眼差しが苦しくて仕方なかった。


「髪色まで変えて……そこまでして、桜妃ちゃんを突き放すか?」


……髪色を変えたのは、桜妃とのことを思い出さないようにするため。


自分の気持ちを整理する必要があった。


意味は、なかったけどな……


「まぁ、狼が今まで頑張ってきたことがあるから、桜妃ちゃんは狼を諦めないでいてくれてるんだろうけど。」


「桜妃に会いたい」


「うん。」


叶うのなら……


「会って抱きしめたい」


「そうだな。」


桜妃……誰よりも…大好きだ。



彗斗が去り際にこちらをふりかえる。


「あぁそうだ、狼に言っておかないと。」


「なんだ?」
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