鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
後悔なんて、とっくにしてるんだよ。


「じゃあな、狼。」


「……」


俺は何も言えないまま、蓮が歩いていくのを眺めているだけだった。




その日、また桜妃からの手紙が俺の下駄箱に入っていた。


『会いたいです。』



俺も会いたい。


何度言っても足りないくらい、会いたい。


手紙にいつも書いてある時間。


桜妃のことだから、 きっと毎日その時間に資料室で俺を待っていてくれてるんだろう。




ごめん、もう少し………待っていてくれ……



会えないことがこんなに苦しいとは思いもしなかった。
< 219 / 302 >

この作品をシェア

pagetop