鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
「ありがとう。」


ドックン…。


怖いだけだと思ってたのに……こんな顔、するんだ……。


「いえ、こちらこそ。」


少し気が抜けた私は、先輩に笑顔を返した。


「やべぇ……。」


それなのに、何故か顔を伏せてしゃがみこんでしまう先輩。


「…あの、大丈夫ですか?」

「……可愛すぎ。」


っ!?え、なんか……鳳条先輩って、狼っぽいって思ってたけど……子犬みたい……。


「先輩?」


先輩の顔を覗こうとすると、先輩は焦ったように立ち上がって、私に背を向けた。


「帰るぞ。…送ってく。」

「……は、い……。」


夕日に照らされたせいか、先輩の耳は、何だか赤くなっているように見えた。

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