鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
狼は、そんな酷いやつじゃない。


俺は知っているんだ。


狼の優しさを……



──高2の4月。
アイドルだから、と女子に囲まれていた俺を恨めしく思った男子に……嫌われていた。


男子の中では完全に孤立。


「こんにちは、"レン"くん」


周りのやつから煽られる日常。


そんな時、狼が俺に声をかけてくれた。



「京極、お前俺と行動すればよくね」


「は、?」


「俺といれば、あいつらから何もされねぇだろ。」


そう話しながら、横目でクラスの男子たちを見る狼。


「いい、のか?」


「あぁ。」


銀髪でピアスをつけていて、さらには暴走族にも入っているというところから、怖がられていた狼。


それを狼自身も自覚していて…そんな自分といれば、相手は手を出してこれない、と思っていたんだろう。
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