鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
「………そうか。」


少し間を空けて返事をした狼くんは、何故かそこから歩くスピードを速くしていく。


「あの、狼くん!?」


どうしたのかな、そういうのあんまり好きじゃなかった!?


名前を呼ぶ以上、何も言えなくて、ただ無言で歩いていく狼くんについていくだけ。


何か言ってみた方がいいのかな?


「あのっ、ろ、」


「桜妃」


遮られた私の言葉。そして、気づけば私たちは学校の敷地外に出ていた。


「さっきのだけど」


さっきの……狼くんの良さを知って欲しいって言ったやつだよね?


「はい、」


「他の女とかへの態度見たら、桜妃多分俺のこと嫌いになる。」


え………絶対と言っていいほど、そんな事ない……。きっと狼くんが思ってるより、狼くんは、きっとみんなに優しい。


それに……狼くんが思ってるより、私は狼くんの全部が好きだ。

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