鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
だから、狼くんと会わず、帰ることは出来ない。


「お引き取りください。」


「それはっ、」


どうしよう、この状況がすごく怖い。こういう時…どうするのが正解なんだろう、


狼くんっ、


もうインターホンを押して、狼くんに助けを求めてしまおうか、そう思った時だった…



「桜妃?」



「え、」


私の名前を呼ぶ、聞き慣れた愛おしい声。


「母さん、桜妃に何してんだよ」


母さん??え、、まって、狼くんのお母さん??


「この子、こんな所にいたから、狼の追っかけかと思って…」


「違う。俺の彼女。」



っっ、、、狼くんのお母さん…?に視線を向けられて、反射的にお辞儀をする。


どうしよう、私すごく失礼なことしちゃった……


こんな人間が自分の息子の彼女とか、嫌に決まってる。
< 279 / 302 >

この作品をシェア

pagetop