鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
私……取り返しのつかないことを…



「ごめんなさい!まさか、彼女さんだったのね…」


その声にびっくりして顔を上げると、さっきまで凍っていたその表情は…とても温かくなっていて……


さっきのが嘘だったんじゃないかと思うほど…


……って、そういえば狼くんのお母さんって俳優……って…言ってたよね?


「昔から狼の追っかけが多くて、久しぶりに日本に帰ってきてまたか、って思っちゃってね。」


「全部演技なのよ、ごめんね」


さっきの、演技なの!?え、凄すぎる、狼くんのお母さん…


「ごめん、桜妃。」


なにも発しない私に狼くんまで謝ってくれる。


「あ、えっと、全然……私の方こそごめんなさい。」


「いや、桜妃が謝る必要はな……」


「ありがとう!桜妃ちゃんって言うの?」
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