鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
「あ、ごめんなさいね、狼荷物持ちに使っちゃって……言ってくれれば良かったのに」


「何度も言っただろ」


ふふっ、なんかこの2人の会話、すごく微笑ましい。


「ごめんな、すぐ準備してくる。」


「はいっ、ゆっくり待ってます」


両手にたくさんのビニール袋と紙袋を持って、家の中へ走っていた狼くん。


残った私をお母さんが見つめる。


「…ありがとう、桜妃ちゃん。」


「へ?」


「あんな狼、初めて見たわ。」


あんな狼……??どういうことなんだろう、


「今までで1番楽しそう。桜妃ちゃんのおかげね。」


そんな、はずない……今までで1番楽しいのは私の方だから……それも、狼くんのおかげで…


だから感謝するのは私の方なのに……


「狼も人を愛せるのね」
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