鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
この後に紡がれる言葉は分かっているから……


俺が払う


何度も何度も聞いた言葉。


狼くんが私を思って言ってくれているのはすごくありがたいことだし、嬉しいことなんだけど……


私がなんだかすごく申し訳なく思っちゃうから……


狼くんを待たせないようにと急いで会計の列に並ぶけど、混んでいてなかなか進まない。



「ねーななくん、これ私に似合うかな?」


「似合うよ」



私の耳に届いたそんな会話や周りを見渡すと見える、たくさんの楽しそうな顔。


みんな幸せそう……これも、クリスマスの魔法なのかな、


ふふっ、いいな、素敵……


「次の方どうぞー」


「あ、 はい!」


会計に呼ばれて、すばやく済ませる。


お店の名前が印字されている可愛らしい袋に入れて貰って、それを抱えて狼くんがいた場所へ急ぐ。

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