鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
「えっと……」


「でも、ダメって言ってくれたの嬉しかった」


っっ、、、言葉通り、本当に嬉しそうに頬が緩んでいる。狼くんは…そんなことで喜んでくれるんだ、


ただ、嫌で……嫉妬で……放ってしまった言葉なのに……


ウザイとか思わないんだ…


「大丈夫だからな、俺は桜妃だけだ。」


その言葉は凄く嬉しい。


私を不安にさせまい、という狼くんの気持ちも。


だけど、それでも……


「……嫉妬しちゃうんです。」


「え?」


「狼くんモテすぎです。」


「ずっと、ヤキモチやいてばっかりです。」


重い…のかな、これって。


「………やっぱ抱きしめたらダメか?」


え?


「余裕ないの俺だけじゃないんだな。」


「やばい、」


手の甲を口元にあてて、言葉を紡ぐ狼くんの声は少しこもっている。
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