鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
他の人と話してるのに、邪魔だって言われたらどうしようとか色々考えてる。


「桜妃なら大丈夫!」


と謎の自信を持っている琴莉ちゃんの方を何度も振り向きながら、私は恐る恐る先輩との距離を縮めていった。


「ほ、うじょうせんぱ…」


「桜妃?」


私が先輩の名前を呼ぶよりも先に、名前を呼ばれてしまう。


「あ、私は…」


「え、なに!この子が噂の桜妃ちゃん?」


今度は鳳条先輩の隣にいた人に話を遮られてしまった。


「うるせぇな、桜妃が話してんだろ。」


それをいとも簡単に抑え込む先輩の顔は、いつも私に向けてくれるものとは全く違う。


「桜妃、どうした?」


どうした、って言われても、なんて答えればいいの?琴莉ちゃんに行ってこいって言われた、なんて言えないし…
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