鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
「ほ、鳳条先輩を見かけたので、来たんです。その……黒髪、似合ってますね…?」


緊張で、声は震えた。イントネーションもおかしい。疑問形なのも。


「……ん、桜妃は、これ好き?」


自分の髪をつまみながら私に聞いてくる先輩。


「あ、好き…ですよ。かっこいいと思います。」


「…なら良かった。」


あ、また、……こんなふうに気の抜けた笑顔を見せるの。


「ねぇ、狼、もう喋っていいだろ?」


「ダメだ。」


「嫌だね。」


この人は、一体誰なんだろう……。鳳条先輩の周りにいる人はみんなオーラがすごい。


「ね!成瀬 桜妃 ちゃん!」


「は、はいっ!」


「俺、天川 彗斗(あまかわ せいと)って言います!鳳凰は分かる?俺そこの副総長やってます!」
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