鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
「わ、美味そう」


しつこく弁当箱の中身を覗いてくる彗斗。


「俺にも1口ちょーだい」


「やるわけねぇだろ。」


おちゃらけた彗斗に対して、蓮は険しい表情を浮かべている。


「なぁ、狼。」


「どうした?」


「成瀬さんの字とか分かるか?」


桜妃の字……??あぁ、前に勉強を教えて欲しい。と、手書きの文字の写真が送られてきたことがあった。


その写真なら…


スマホの画面を蓮の方に向けてみせると、いつも冷静な蓮の瞳がかすかに揺れた。


「……マジか…。俺、ほんとに気づくの遅すぎだよな。」


「は?」


蓮は何故か勢いよく立ち上がって、俺を真っ直ぐに見つめた。


「狼、ごめん。俺も成瀬さんほしい。」


それは、俺に対する、宣戦布告だった。
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