明日には居ない君の物語
「いやいやいや、私のためを思ってるんだったら検査しないで⁉︎ていうか、楓さんなんでこんなとこにいんの⁉︎ここ、呼吸器だよ⁉︎ケホッ…ケホケホッ、ハァケホッケホッ…」

あ、やばい…発作が…。

「ほらほら、そんなに暴れるから…。はい、深呼吸して。吸って〜、吐いて〜、吸って〜、吐いて〜」

すー、はー、すー、はー…。

「よし、落ち着いたところで採血しに行こうか!!」

いや!!!!

「顔にめっちゃ嫌って書いてんぞー」

「あはは、やっぱり涼香ちゃんはわっかりやすいね〜!!」

え、そんな?

「そんな?って顔してる」

「要怖っ!なんでわかんの⁉︎ってか、着いちゃったよ〜…。要、降ろして〜!!」

そう、私は今、逃亡阻止のために要の手によってお姫様抱っこされているのです。

「だめ。今降ろしたらまた逃亡するだろ」

「うっ…!痛いところを突いて来やがるっ…!!」

まあ、その通りなんだけど。
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