明日には居ない君の物語
「涼香ちゃん、逃げちゃダメだよ〜。ていうか、逃げても無駄だよ〜?あはははっ♪」

「か、楓さん怖いよ」

もう、針とかが載ったトレイ持って悪魔みたいな笑顔で歩かないでほしい。

マジで怖い!!

「はい、腕出して」

動く前に要の手によって捲られる私の制服の袖…。

「やだ!痛い!!」

「まだ、何もしてないよ涼香ちゃん」

消毒液の染み込んだコットンで腕を拭かれる。

「もうやだ!スースーする!!」

「安心しなよ。たしかに涼香ちゃんの血管は細いけど、あたし上手いから失敗しないよ!」

「そう言う問題じゃなーい!!」

問答無用で針を刺そうとしてくる楓さん。

私が暴れられないようにさらに力を込めて抑える要…。

チクッ

そして針が刺さる。

「いったぁいっ!!楓さん、早く抜いて!!」

横を見ると、私の血が細い管を通って小さな入れ物に溜まっていく様子がわかる。

「うん、痛いねえ。でも失敗はしてないよ。もう少し我慢だよ!」
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