明日には居ない君の物語
触れたのは一瞬だったのに、とても長い間触れ合っていた気がする…。

「え、な、何…?どうしちゃったの要」

「今このまま離れたら、お前が消えそうだったから」

そう言って、要は今まで私が見たこともない悲しそうな顔をしていた。

否、正確には私がもう2度と見たくないと思って忘れていた表情だった…。

「な、なに言ってんの?私はどこにも行かないってば!要がそんな事言うの珍しいじゃん?熱でもあるんじゃないの〜?」

要の目には私の後ろ姿がとても弱々しく見えて居たんだろうけど、私は要を置いて何処にも行く気がない。
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