明日には居ない君の物語
「無理すんな」

「うん…」

私は要に所謂お姫様抱っこをされ、保健室まで運び込まれた。

生憎、保健室の先生は居ないようで、要はまず最初に私をベッドに寝かせてくれる。

それから、私の付き添いで何度もここに来ている要は慣れた手つきで火照った私の体を冷やすために水枕を用意してくれる。

「要」

「ん?」

「ごめんね…いつもいつも…」

要に気付かれないように静かに涙を流しながら私は言う。

「何言ってんだよ。さっきから言ってんだろ、謝んなって。俺は迷惑だと思ってねぇし、面倒だと思ったら俺はしない。涼香が好きだからやってんだよ。だから気にすんな」

うぅ…私の幼馴染はいや、私の彼氏はなんていい奴なんだ…!(元ヤンとは思えない)

あ、やばい…もう涙止まんない…

「ったく、なんで泣いてんだよ」

「だ、だって要が優しすぎるからぁ…うぅ…」

そう言うと私は要に抱きつく。

「ばぁか。俺は涼香にしか優しくしねぇよ」

私の涙を拭いながら、私を優しく包み込んでくれる要…。
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