明日には居ない君の物語
半年…。

半年って半年有れば何が出来るだろうか。

「秋来先生、私、入院はしたくない」

全員が驚いた顔をする。

そりゃあ、そうだろう。

体が弱くて、余命宣告されたばかりの人が入院を拒否してるんだから…。

「涼香、何言ってるの?お母さんは、何を言われてもあなたを入院させる」

「嫌!この残された時間の中で、やりのことしたこと全部やりきりたい。行ってみたかったところにも行ってみたいし、見たかったけど見に行けなかった映画も見たい。なにより、私は自宅療養がどんなに辛くてもいい。私は、要と冬菜ともっと一緒に居たい」

私の頬を生温かい涙がとめどなくつたる。

「涼香ちゃん、君が望むのなら私たち医者は君の要望を叶えなければならない。けど、担当としてはしばらくは自宅療養でも大丈夫だろうけど、更に酷くなれば最終的には入院してほしいと思っている」
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