明日には居ない君の物語
そんなわけない。

涼香は半年前に死んだんだ。

俺の目の前で死んだんだ。

涼香がいるわけがない。

「そうだよ。春風涼香だよ」

なんで…

「私さ、半年前に死んじゃったじゃん?だから、ちょっと怖い事言うけどずっと要と冬菜と家族の事見守ってた。だから、要が私のこと今までたくさん考えてくれてたことも悲しんでくれたことも知ってる。それでね、要が最近ちゃんと睡眠取ってなかったから階段から落ちちゃったんだよ?たまたま通りかかった冬菜が病院まで運んでくれたんだ。だから、ちゃんと冬菜にお礼言うんだよ?」

階段から落ちた?

その前に、俺は死んだのか?

そうじゃなきゃ涼香と話せるわけがない。

「涼香、俺は死んだのか?」

「死んでないよ。気を失ってるだけ」

「じゃあなんで!」

「私が願ったの。要を死なせたくなかったから…。要と話してこっちに来させないようにしたいって」

そう言いながら涼香は涙を流す。
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