明日には居ない君の物語
「お邪魔しまーす」

「ほんとに、要くんが大怪我したら涼香びっくりして、夢の中で怒ってくるかもよ〜?」

夢の中ででも会えるのなら会いたいけど。

きっと、そんなに人生甘くない。、

「怒られてもいいから、会いたいです」

なんて笑って答えるけど、やっぱり涼香を思い出すと泣きそうになる。

でもそれは、俺だけじゃなくて、涼香の母さんだって、父さんだって思ってる。

「要くんに愛されてるわね、あの子!」

若いっていいわ〜♪なんて呑気な涼香母。

そんな笑ってる顔も涼香に似ていて、苦しくなる。

「そりゃあもちろん、今でもこれからもずっと変わらず好きですよ」

「あらあら、涼香と変わってあげたいわ〜。…夢も叶えてほしかったし、あの子はもっと幸せな人生を歩んでほしかった」

わかってる。

一番つらいのは俺じゃないことくらいわかってる。

今だって、俺には掛ける言葉を見つけられない。

どんなに頑張ったところで、もう二度と涼香には会えない。

会えるのは記憶の中の俺達とは違う時間軸を歩む涼香だけ。

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