最愛の日々にピリオドを、
柿ピーの主役のほうが食べれないわたしは、この部屋に常備されている柿ピーのピーナッツの方だけをきれいに選択して食べている。おとなしく主役だけを食べて味変を楽しめない夕雅は、ようやくピーナッツを食べれる生活が戻ってくるんだから喜べばいい。
そのたびに、そう言えばピーナッツしか食わねえ女いたな、って最初の方は思い出すんだろうね。私がスーパーでそれを見かけて思わず手に取ってしまうように、彼にも少なからず当分の無意識が続いてしまえばいいと思う。
冷蔵庫から缶をふたつ取り出し、器用に柿ピーの袋をくわえてベッドの前のテーブルの正面に座る。
テレビがあったから並んで座っていたけれど、こうやって向かい合ってテーブルを囲むなんて変な話だ。
チョコモナカジャンボと、スーパーカップのクッキーバニラ。たいていどこに行ってもこのふたつを選びがちな私のせいで、夕雅の口もこのふたつのアイスが欲しくなるようになってしまったらしい。本来ならアイスの実一択なんだよ、とぶつぶつ文句を言いながらわたしに合わせていた最初の頃を思い出す。
「はい、乾杯」
「かんぱーい」
「ついさっきメシ食ったばっかなのに、呉羽といると普段の3倍くらい食べるんだよ」
「わたしが来ないとろくなもの食べないんだから、感謝した方がいいと思う」
「明日からカップラーメン生活に逆戻りだぜ」
「料理をする努力をしなさいよ、私だってここに来る前まで全然料理なんかやらなかったわよ」
「俺のために家でこっそり練習してたんだもんな」
「ホント健気でかわいい彼女ですこと」
「ホントにな。そんでそれを俺はお前のかーちゃんから聞くまで知らねえし」
「そんな恥ずかしいこと自分から言うわけないでしょ、バレるつもりもなかったの」