最愛の日々にピリオドを、





あんなに片づけが苦手だったくせに、引っ越し前夜のこの部屋は眠るためのベッドと食事のための机以外のほとんどが段ボールの中に包まれていた。
とは言っても、その半分くらいは私が手伝ってあげたようなものだし、断捨離ができずに捨てることをためらっていたものの選別まで私は助言した。


大切なものだけを持っていけばいいと言ったら、どれにも思い出があるだろうって怒られた。
思い出はカタチにしなくても自分には残り続けるのに、彼はやけにそのものにこだわりを持っている。


しかたなくコップに水を入れて生けている黄色のお花は、つい3日前に私が来たときはなかったものだった。
花なんて興味ないくせに、いったい誰からもらったのだろう。

私はその回答を聞かない。



お前もこの部屋は名残惜しいだろう、と勝手に決めつけた彼は、一人暮らしの狭いアパートで暮らす最後の2日間を過ごす相手に私を選んだ。
彼が住んで丸4年、私がこの部屋に入り浸るようになってもう3年以上が経過していた。



最後の2日間、いつも通りの夜。

そんな、過ごしてきた4年間に終わりを告げようとしていた。


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