最愛の日々にピリオドを、
私の家の近くにはないこのコンビニも、夕雅の家にいることが多いからわざわざポイントカードを作った。バーコード決済をすると出る無駄に大きな支払い音に、夕雅はいつも顔を顰める。わたしも、この音は必要ないと思う。
奢ってもらったししょうがねえなとビニール袋をわたしから奪い去り、いつもの帰路を並んで歩く。
この道を歩くことももうないのかと思えば、あのコンビニをもう少しくらい名残惜しく思ってもよかったかもしれない。
大学の卒業式が終わって4日。もうすぐ4月、入社式が近づいている。
4年間の学生生活はあっという間で、できれば本当に社会人になんかなりたくないけれど、アルバイト最終日の日に店長に言われた「社会人になっても呉羽らしく頑張りなよ」の言葉でほんとうにもう大人になってしまうんだなと思った。
30分ほどで通えてしまうわたしは大学生活も実家から通い、就職先の職場もまあ通えない範囲ではないので1年目は実家から通うつもりだ。
対して夕雅は大学の近くでアパートを借りていたため、卒業とともに職場の近くに引っ越しをするらしい。
私と夕雅の職場は近くもなければ遠くもない。
だから会おうと思えば会えるし、行こうと思えば遊びに行ける。
「―――ラブラブとは程遠かったよね、わたしたち」
「なんだよ急に、似合わなくてびっくりしたわ」
「友達に、安定感すごいよねって言われたの思い出して」
「ちゃんと二人きりのときはラブラブでイチャついてるって返したか?」
「夕雅が意外と甘えんぼキャラなんだよって言っといた」
「おーよく言うなお前、俺だけ売るなよ」
「わたしの友達からしたらあんたは隠れ甘えキャラになってるよ、ごめんね」
「まあそれで好感あがるならよし」
「オメデタイ頭ね」