最愛の日々にピリオドを、




「つうか寒いのにアイス食うの、馬鹿じゃね?」

「今更何言ってんのよ」

「だってもう暖房使えねーじゃん、ぜってーさむい」

「じゃあ私がふたつ食べる」

「それはない。俺も食う」

「なんなのよ」



狭い玄関における靴はふたつまで。
夕雅のスニーカーの横に並ぶ自分のショートブーツは、どう考えても寝間着を着てコンビニに行くときに履くものではない。
おそらくこれまでだったら外にデートに行くわけでもないのに気合入れた靴だなって揶揄ってきていただろう。誰かさんのぶかぶかのスウェットを着てこの部屋に常備されていたジャージを履いてショートブーツを合わせた私に、夕雅は何も言わなかった。


いつも通りにしよう、そう思えば思うほどお互いの気の使い合いでから回っている気がする。
そんなことにさえ、きっと気づいているからこそ何も言わずに私たちはこれまで通りに振舞っている。


テレビさえもうしまわれてしまった部屋の中で音を出せるのはわたしたちとBluetoothで接続する小さなスピーカーくらいだった。
それにつなげて二人でYouTubeを見たり音楽を聴いたりしていた。テレビで見れるやつを買おうって話をしていたけれど、スマホスタンドを買ったからと小さな画面にふたりでくっついてみていたっけ。



「ももと白ぶどう」

「白ぶどう」

「あ、ですよね。柿ピーの豆食べる?」

「食べる」

「つうかお前これからはこっちだけ食べてくれる奴に出会わなきゃいけないんだろ、ご苦労だな」

「柿ピーとも今日でさよならってこと?」

「食べれるようになればいい話じゃね?」


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