孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
余裕を持って身支度できなかったのは、私と同じだろう。
厚手のニットにブルーデニムという、彼女にしてはカジュアルな服装だ。
「ちょうどよかった。話したいって思ってたの」
私は、彼女に駆け寄った。
「いいよ~。今年も、オンコール明けからの初詣行く? 拝んどこうか」
操は膝の上で両手で頬杖をつき、上目遣いに含んだ誘いをかけてくる。
去年の初詣での、私の結婚神頼みを匂わせているのだろう。
私は眉をハの字に下げ、情けない顔をしてみせた。
「いいね。着替えてくるから待ってて」
気を取り直して職員更衣室に向かおうとして、思わず立ち止まった。
「? 霞?」
操が私を見上げてから、私の視線を追って首を伸ばす。
そして、
「……誰?」
訝しげに首を傾げた。
「え? 誰って」
私は彼女の質問に戸惑いながら、すぐに口を噤んだ。
私も一昨日の夜、その変貌ぶりに度肝を抜かれたばかりだ。
目の前から来る非の打ち所がないイケメンが霧生君だと、オペ中の彼しか知らない操に一目でわかるわけがない。
「ええと、あれは……」
説明しようとする私の前に、霧生君がゆっくり歩いてきた。
「お疲れ様です」
操にちらりと目を遣り、労いの言葉を口する。
厚手のニットにブルーデニムという、彼女にしてはカジュアルな服装だ。
「ちょうどよかった。話したいって思ってたの」
私は、彼女に駆け寄った。
「いいよ~。今年も、オンコール明けからの初詣行く? 拝んどこうか」
操は膝の上で両手で頬杖をつき、上目遣いに含んだ誘いをかけてくる。
去年の初詣での、私の結婚神頼みを匂わせているのだろう。
私は眉をハの字に下げ、情けない顔をしてみせた。
「いいね。着替えてくるから待ってて」
気を取り直して職員更衣室に向かおうとして、思わず立ち止まった。
「? 霞?」
操が私を見上げてから、私の視線を追って首を伸ばす。
そして、
「……誰?」
訝しげに首を傾げた。
「え? 誰って」
私は彼女の質問に戸惑いながら、すぐに口を噤んだ。
私も一昨日の夜、その変貌ぶりに度肝を抜かれたばかりだ。
目の前から来る非の打ち所がないイケメンが霧生君だと、オペ中の彼しか知らない操に一目でわかるわけがない。
「ええと、あれは……」
説明しようとする私の前に、霧生君がゆっくり歩いてきた。
「お疲れ様です」
操にちらりと目を遣り、労いの言葉を口する。